お金のパーソナルコーチ

銀行員を30年以上経験してきて、今だからこそわかるお金との付き合いかたを残していきたいと思います。素朴な疑問へのご質問受け付けます

住宅ローンを賢く借りるには

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昨日、住宅ローンについて聞く機会があったので、住宅ローンを賢く借りる方法について考えてみたいと思います。

いまコロナで返済が困難となっている人の相談件数が増えていて7000件あるとか言ってましたが、それが通常に比べてどれくらい多いのか、コロナ影響の収入減少によるものなのか、無理のあるローンだったのか判断出来ないので何とも言えませんでした。

 

何が正しいのかなんて結果次第かと思うんですが、今住んでいる家賃と同額を支払って、65歳までに完済できるくらいのローンで買える家にするのがいいような気がします。

そのあたりの議論は別にして、家を買ってしまって住宅ローンを借りる場合に「賢く借りる」ことに焦点を絞って書いてみます。

 

どこで借りるか

結論:金利が低い銀行で借りるのが一番です。

「購入する不動産業者に勧められた」とか「生活口座に使っている銀行にした」とか「知り合いに紹介された銀行にした」とか結構あるんですが、一生に何度もない多額の借入ですから、もう少し真剣に検討したほうがいいと思うんです。

もちろん手数料や保証料を含むベースで、一番安い銀行がベスト。

あとで書きますが、出来れば普段使う銀行とは別の銀行で借入することをお勧めします。

毎月振替が面倒と思うかもしれませんが、今やスマホで一瞬で資金移動出来る時代です。月に1度の作業でローンを借りている意識を持つのも悪いことではありません。

そうなるとネット銀行がいいんじゃないでしょうか。

ジャパンネット銀行(まもなくペイペイ銀行)なんて変動金利で【0.38%】です。じぶん銀行とかも低いですからぜひ調べてみるといいと思います。

住宅ローン借入するのに「名が通っているかどうか」とか関係ないですから。

(街金は住宅ローンやっていませんから)

変動金利か固定金利

結論:低い金利がいいと思います。

これは多くの人が悩まれるポイントですが、結局「将来の金利上昇の可能性をどう捉えるか」ということかと思いますので、それぞれの好みに合わせて選んでいただくということかと思います。

ただ、将来のことはだれにも分からないし、金利が上昇するということはインフレで価値も上昇し、収入も増加する?と考えると、わるいことばかりじゃなさそうですし、どうせ分からないなら今低い金利の方がいいということかと。

私は断然変動金利で低金利を享受することをお勧めします。

将来金利が上昇しても借入期間トータルで今の固定金利より低ければ判断が正しかったということではないでしょうか。

借入条件をどうするか

ようやく本題です(笑)

結論:借り入れ可能な最大の金額(上限5000万円)を最長の期間で借りる。

前提:住宅ローン減税を使う

住宅ローン減税は12月末のローン残高の1.0%が13年間も税還付される制度なので、金利が1.0%未満で借入していると差額がお得になるというメリットがあります。

(見直しが検討されているようですが、今はそうです)

つまり、13年間はローン残高を可能な限り多く保って、13年後に一部繰り上げ返済を行うのがお得度最大になるポイントです。

下記に事例を貼っていますが、4500万円の物件を3600万円のローンを組んで、毎月返済を13万円未満、ボーナス返済を20万円未満とした場合、金利が0.4%であれば借入期間は20年で完済可能です。(表の左側)

その時の13年後の残元本は1474万円、13年間のローン減税は330万円となります。

これを素直に借りるのではなく、借入を最大(4000万円とします)、借入期間も最長(35年とします)、ボーナス返済なしで申し込むんです。

そうすると毎月返済で22,807円、ボーナス返済で187,163円の余剰が生まれるので、これを返済口座に貯めておくと、12年間で777万円貯まります。

(生活口座と一緒にしておくと分からなくなってしまうので、別のローン返済専用銀行口座でやるといいです)

住宅ローン減税がなくなる13年後に自己資金で浮いた分400万年と貯まった777万円の1177万円を一部繰り上げ返済するという手順。

残元本はもともとの計画より40万円ほど多く残るものの、減税効果を含めると65万円もお得になるという算段です。

如何でしょう?

もちろん、途中で借入金利が上昇して予定通りに行かないこともありますが、1%以下ならOKですし、

・手元資金が貯まることで心に余裕が生まれる(これが大きい)

・別口座管理の中、支払金利を少なくしうようという気持ちが生まれる

・13年後にもっと繰上返済しようと思う

とかのメリットが出てくるんじゃないでしょうか。

借入の限度額いっぱいまで借りないと買えない家を買うのではなくて、余裕のある借入で買える家を買う、そして限度額いっぱいまで借入するということかと思います。

金利1%以上で借りている人はこの機会に借換を検討してみてはどうでしょう。

 

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